河合 幹雄
安全神話崩壊のパラドックス―治安の法社会学
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人気ランキング : 115077位
定価 : ¥ 3,675
販売元 : 岩波書店
発売日 : 2004-08 |
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釈然としない |
「犯罪の凶悪化は進んでいるか?」というところから始まって、日本の治安や刑事司法の特徴を西洋との比較を織り交ぜながら説いた本。
犯罪が凶悪化しているとはいえないという指摘は、現在においてはいろいろな本・ブログで指摘されていることで、肯定的に評価してよいだろう。しかし、そのほかのところは、どうも釈然としないところが多い。何点か挙げると、(ア)継承者の不在は技術革新の問題もあるのではないか、(イ)「現場の鬼」との1対1のコミュニケーションを重視してビデオ導入に反対するのでよいのか(自白の任意性を争う事件は結構多い)、(ウ)地域共同体に期待できるか(長時間労働に関する考察がない)、(エ)どこの国でも、どんなモデルでも治安に対してどこか不都合が生じるのはやむを得ないのではないか、など。
以上のように、犯罪が凶悪化しているとは言えないと指摘したところが星5つ、他のところは星2?3つ、全体として星3つ。
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まあまあのところで・・・ |
この本についての評価:保守派は「安全だ安全だというがテロ・拉致・少年犯罪と、ひどい状況になっているじゃないか!」というもの。他方革新左派は「ほら、この本がいうように治安はそんなに悪くなっていない」というもの。保守は現状の安寧を肯定し、革新は現状の矛盾の激化をつくものだとおもっていた僕にとっては、左右の関係がえらくねじれたなあと思ってしまうのだが。
本書の統計的結論については、そのとおりだとおもう。明らかに日本の治安は悪化していない。
また「にもかかわらずなぜ治安が悪化した気がするのか」の結論についても、半ばは同意できる。端的に言えば、「安心」を供給してきた業界=企業社会が壊れつつあるからだ。警察の捜査能力の機能変数でもない、本書はエズラ・ボーゲルのような「日本警察優秀論」に立っていない。もともと優秀でもなんでもないから、能力が落ちるわけでもないのだ。
治安問題はさまざまな政策のなかでも論者のイデオロギーが前面に出やすいとおもうのだが、この本の著者はそういう意味では、いろいろな主張に「一理」を見出している。それが本書に妙な説得力をもたらしているし、他方で(統計処理はともかく)その主張には首尾一貫しないあいまいさと矛盾がある。
たとえば、「日本的共同体」について、一方ではそうした共同体のハンセン病患者などにたいする差別と排除の「冷酷さ」を指弾しつつ、他方で差別と排除を孕む「夜」の世界のゾーニングを説いたりしている。
ようするに、(監視カメラは全部だめとか全部いいとか)ゼロサムではなく、まあまあのところで行きましょうというところなのだろうか。みんながまあまあのところで収めてくれればそりゃいいんだが、現状は共謀罪やら入管法改正やらと、著者の統計結果からみればまったく不必要な治安政策の強化がすすんでいる。二〇〇一年以降の世界的な治安体制の強化を踏まえて書かれているはずの本書で、その支配のメカニズムについての言及や緊張関係がないのは、ちょっと不思議だった。
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読みやすいが内容は深い |
新発売当時、各マスメディアで取り上げられ、多くの書評も書かれた話題作。それから1年以上経ちますが、全く色あせるどころか、現実がいよいよ本書に追いついてきた感すらあります。大学の教授が執筆したいわゆる「専門書」なのですが、とっつきやすいのは本人の個性によるところが大きいかと。
単に「なんだ、日本社会は安全なんだ」「でも、体感治安は確実に悪化しているから、対策をとらないと」といった結論部分をなぞるのではなく、筆者の視点自体が示唆に富んでいて、引き込まれます。学生だけでなく、マスコミでサツ回りや司法担当をしている人にもオススメです。見えないネタが見えてくるはずです。
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犯罪は増えていないのに増えていると思われているのはなぜか |
犯罪は増えていないのに増えていると思われているのはなぜか、という疑問への回答を特に欧米と比較した社会構造と刑事政策から試みている。伝統的政策はそれなりの成果を出してきたが、それは社会の変化で限界にきている。しかし、対策として欧米のマネをしてもだめで、新しい人間関係を作っていかなければならない、という話。かな。
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無題 |
社会と法律の関係と、警察やマスコミなどによる情報の操作などを
鋭く書き綴られている名書であると思う。
我々が知らないというだけで、裏ではこんな事が行われているのかと
読めば読むほど愕然としてくる。
また、学術本によくある、一般向けなはずなのに専門用語を書き並べ、
「着いてこられる奴だけ着いて来い」といった、突き放したようなものでなく、
法律などを知らない人向けに身近な話題などで徐々に話を切り出すのは
読んでいる身として、非常に有り難かった。