芹沢 一也
狂気と犯罪―なぜ日本は世界一の精神病国家になったのか
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人気ランキング : 22234位
定価 : ¥ 840
販売元 : 講談社
発売日 : 2005-01 |
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精神医療の通史としては勉強させられる本だが。 |
社会学者の芹沢一也氏が、日本の刑法と精神医学が、精神病者にどう対峙して来たかを歴史的に回顧し、そうした歴史的視点から、今現在における日本社会と精神病者の関係を論じた本である。明治期の日本の精神科医達の肉声を資料として引用しながら、日本の精神医療の歴史を振り返る著者の記述は、非常に興味深い物である。
しかし、日本の精神医療と精神病者に対する法制度をどうすれば良いのか、と言ふ問題に対する著者の結論は、結局、抽象的である。又、芹沢氏は、大阪池田小学校事件(2001年)後に湧き上がった世論を見下した様に批判するが、この辺りに、私は、日本の文科系アカデミズムに特有の独善性を感じる。更に、現在、「ノーマリゼイション」と言ふ言葉で推進されて居る政策について、著者は、現場の困難さを何も御存知ないと言ふのが、医療現場に居る私の感想である。ほんの一例を挙げるなら、日本の精神科救急が、いかに空洞化して居るかを、芹沢氏が理解して居るとは到底思へない。だから、医療現場に居て、精神科救急の空洞化のしわ寄せを受けて居る内科医の一人である私が読むと、机上の空論と言ふ読後感が拭へないのである。芹沢氏は、「あとがき」でこう述べる。??大切なのは極論ではなく、バランスなのであるから。人権だけを強調するのも馬鹿げているし、また社会の治安のみを強調するのも同じく馬鹿げている。(本書216ページ)??全く同感である。ただ、そう言ふ芹沢氏自身が、「人権」に偏って居ると思ったのは、私だけだろうか?
(西岡昌紀・内科医/大阪池田小学校事件から5年目の日に)
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教科書に最適、理解しやすい |
主題についての歴史的分析から、全体にとても良く書かれている。高校生、大学教養課程の学生にぜひ読ませたい。
1 気合が入っており、学術書よりもジャーナリズム的な読後感あり。
2 他人種での疾病発生頻度から、日本人での発生率を他因子を考慮して類推する手法は、各種疾患でよく用いられる。一概に切って捨てるのはおかしい。文科系の人にこのような傾向がたまに見られる。
3 分析、記述、批判だけで終わらずに、最後にこの問題についての建設的な解決法の提言があればよかったと思う。惜しい。
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何者かを殺している |
江戸から東京へ時代が変わるとともに同じく変わった刑法。
それは“犯罪”という実体がなくなって“犯罪者の性格”という
曖昧が残ったのだ。
「狂気を監禁する社会」の変遷を読み進めながら思ったことは、
これは同様に“社会”という実体がなくなって、“世間”という
曖昧が残ったということだろうか、と。
以前は世間イコール社会ではなかった。抽象と実体がまだ乖離
していた。情報や文明が発達するにつれ、世間と社会は一分の隙
もなく重なっていく。
清浄で美しく住みやすい社会に異常なるものは、いらない、と。
文明化された社会は脆い。たった数人の人間が高速道路を逆走
したり、電車に飛び込んだら、もう終わる。ここに住む社会の全員の
総意がないと、成り立たないのだ。だから、「文明」はすぐに反転して
全体主義の悪夢に位相する。
「触法精神障害者」という「精神障害者」の中でも鬼子のような
存在はいたのではなく、作られたのだ。排除対象として。
「犯罪者の性格」(精神鑑定)や「世間」(当事者意識)という、
実体のないわけのわからない武器をもった私達は「どっちにせよ、
わからない」「どっちにせよ、許せない」というたった一言で
何者かを殺している。
自分でその武器をふりまわしていることもわからずにだ。
監禁された不可視な者達にその武器は遠慮なくふりおろされる。
そして循環する。
これが私たちが今選んでいる一分の隙もない“現実の社会”と
“妄想の世間”だ。
この本は39条をテーマにしているが、それを通して私が住む社
会と世間の土台のようなものを考えさせられた。この社会と世間
の土台をまず見なくては、自分がどうふるまえばいいのかはわか
らない。どうすればいいかということがわかる本が良い本という
定義なら、それはわからないが、私は大変反省させられた本です。
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歴史的アプローチ? |
〜「狂気と犯罪」。いかにも売れそうなタイトル。時代に沿った内容を期待して読んだ。確かに、精神障害者と犯罪問題のアプローチとして、家庭環境や社会状況という切り口ではなく、歴史的史実を持ってきたことは画期的。だが、精神病院の歴史について、歴史的史実を消化しきれずに、持論に都合のよいような書き方をしているのが気になった。私自身、精神病院史〜〜の調査をしているが、近代において、私立の精神病院が果たした役割は、この筆者が書くような金儲け主義ではなかったはずだ。資料的裏付けがなされないまま、いくつかの問題提示がなされ、その都度、官のふがいなさをあおっているが、起承転結の「起承転」のみで、結論がなく、結局、何がいいたいのかわからなかった。参考資料の乏しさも気になる。〜
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宮崎哲弥が選ぶ一月のベスト新書 |
『諸君!』で評論家・宮崎哲弥が一月のベスト新書に選んだ本。ミシェル・フーコーに影響を受けた研究者の手による日本版『狂気の歴史』といった内容。文章もとても読みやすく、また狂気の現在を生み出した歴史的な記述は説得力がある。法の世界における狂気と、社会における狂気、そして両者の関係についてダイナミックな分析がなされている。刑法39条の問題など、昨今の精神障害をめぐる問題を考える上でも参考になる。確かにお薦めの本だ。